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医師会からのお知らせ

第30回健康と医療作文コンクール

佳作

「手厚い私たちの医療」
遠藤 紡
甲陵中学校2年
私は、側弯症という、背骨が左右に曲がってしまう病気で整形外科の側弯症外来に通っている。昨年の夏ごろから、コルセットを使った治療を行なっている。今年の夏休みで、治療開始から1年ほどたつが、経過は順調だ。
私が使用しているコルセットは、A大学で開発された、アンダーアーム型のOMCプレースと呼ばれるものだ。最初はこんなプラスチックで背骨を真っすぐにできるのかと、半信半疑だったが、いざ装置してレントゲンを撮ってみると、あんなに曲がっていた背骨をこんなに真っすぐにすることができるのかととても驚いた。このコルセットの効果は抜群で、一日に最低8時間つけていただけで、半年で6度戻すことができた。また、このコルセットは側弯症の症状が出ていた腰痛も抑えることができた。しかし、このコルセットでは、側弯症を完治させることができないようだ。
さらに詳しくOMCプレースの装具について調べていくと、この種類のコルセットは、主に背骨のカープにあわせて腋下パッドを取り付けることにより、弯曲の矯正、脊柱のバランスの改善を目的として装具だそうだ。三点支持の原理で矯正を行うボストンタイプの装具や、シェノーと呼ばれる装具とは違い、金属部分があるのが特徴だということがわかった。
私がこのコルセットを作った時は、市の医療費補助が適用され、一部の金額が申請から約3ヶ月後に口座に振り込まれていった。このようなところにも、税金が使われていることがわかった。
調べていくと、このようにコルセットの種類がたくさんあることがわかった。このように治療法は「装具療法」そして「手術療法」の二つがある。そのため、症状が現れてからの治療はできる。しかし、発症する前に予防することができない。理由は、側弯症のはっきりとした原因がわかっていないからだ。
側弯症の八割を占める突発性側弯症は、原因がわかっていない。突発性側湾症には、10歳未満で発症・診断される「早期発症側弯症」と、10歳以降で発症・診断される「思春期側弯症」に分類されるそうだ。
近年、側弯症に対する遺伝子研究が盛んに行われているそうで、発症に関係していると思われる五つの遺伝子と、進行に関係していると思われる一つの遺伝子が見つかり、先天性側弯症の約一割が特定の遺伝子が原因で発症するとわかったそうだ。
去年の春頃、初めて側弯症外来で診察を受けたとき、先生に「親戚の中で側弯症と診断された方はいらっしゃいますか」と聞かれた。私の母も側弯症だったため、先生に伝えたら、先生は「遺伝性の可能性があるので、念のためご兄弟の方も注意してください」とおっしゃっていた。もしかしたら、本当に遺伝性の病気なのかもしれない。弟はまだ発症していないが、遺伝性であれば発症する確率は他の人よりも高いと思うので、注意して生活していきたい。
このように、今の側弯症に対する医療は、治療法が見つかっているため、発症し、進行を抑えることができている。また、県内にもいくつかの側弯症外来があり、側弯症専門の先生もいらっしゃり、コルセットを作ってくださる専門の装備屋さん、そして、レントゲンを撮ってくださる技師さんもいらっしゃる。一人の側弯症患者に対する専門の方の数が多く、とても安心できる。最初は腰が痛くて地域の整形外科に行き、レントゲンを撮ったら側弯症であること、また、カーブの角度が大きいので、大きい病院の側弯症外来を紹介するが装具療法ということになると思うから、覚悟をしておいてほしいということだけ伝えられた。よくわからないまま外来へ行き、主治医である側弯症専門医の先生から、どのような病気なのか、この病気の治療はどのように行なうのかなどを説明していただいた。また、治療の際、コルセットを作ることになれば、専門の装備屋さんに自分専用のコルセットを作っていただけると聞いた。何も知らず、ただ不安な気持ちでいたが、先生の説明を受けると、不安もなくなり、自分一人のためにこんなにたくさんの人が動いてくださるのかと先生方に感謝の気持ちでいっぱいになり、日本の医療は世界トップレベルとは知っていたが、やっぱりすごいなと思った。しかし、この病気は、原因がわかっていないこと、また、進行を抑えることができても、完治させることはできないと知り、日本の最先端の技術でもやはり限界があるのだなと改めて感じた。
側弯症は、約100人に1人が発症、女性に至っては、約50人に1人が発症する、とても身近な病気だ。今の医療で側弯症の原因を突き止め、完治、また、予防する方法が今後見つかってほしい。そして、この病気で苦しんでいる人たちを救ってほしい。