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医師会からのお知らせ

第28回健康と医療作文コンクール

佳作

「傷だらけの体とともに」
今村 梨鈴葉
中央高校1年
悩みはいつのまにか消え、また新しい悩みがでてくる。でもつきまとい一生離れないであろう悩みが私にはある。その悩みは、アトピーを強く持っていることだ。生まれつきで幼少期の写真に映る自分は、いつでも真っ赤な顔でかわいくない。今でも痒くなったり、赤くなったりする。関節は色素沈着し、改善が期待できるか分からない。
皮膚科の先生は波があるから良くなったり悪くなったりするから、一生つきあっていかないといけないと言う。治っている実感があまりなくて、時間がかかる。だからと言って、強い薬ばかりを使うことはできない。そして自分を理解してくださる先生を、見つけることも難しい。最初に通っていた先生は、部分ごとに分けて薬を処方してくださったので、とても量が多かった。全部で12種類の薬を服用していた。部分で別のものを塗らないといけなかったので、すごく面倒に私自身感じてしまうようになった。先生によって薬の量も種類も塗る順番さえも違うので、病院選びに時間がかかる。言うことが異なると患者としては不安になるし、どれを信じるべきか分からない。これまでやってきた治療を否定されればやる気は一層低くなるし、無駄な時間を費やしてしまったと後悔してしまう。本気で治していきたいのに、明確な治療方法が示されないのでは、治したい思いもうすれてしまう。
日常の中でも、辛い思いをする。一部ではなく体全体に炎症があるので、どうしてそんなに傷だらけなの大丈夫と言う周りの言葉を聞くたびに悲しくなってしまう。その人からすれば、やさしい声かけのつもりだったのかもしれないけれども、自分はやっぱりこの傷は目立って目についてしまうんだと再確認させられるようだ。夜眠る時だって、寝るまでに体温が上がって体が痒くなったり、寝つけても無意識の内にかきむしってしまったりして、体がボロボロになってしまう。治すために塗っている薬が、かゆみの原因になる。そして前回より悪化した肌を先生に見せると、何でもっと早く来なかったのかと叱られる。それが嫌で、あきらめる人もいると思う。いつでも来られるわけではないことを、理解してほしい。
そして一番自分が嫌なのは、服を自由に選べない所だ。好みの服があっても、腕が見えてしまう。足の傷などが気になって、買うことをちゅうちょする。自分が見につけてもきれいで良い服には見えなくなってしまうのではないかと思う。いつのまにか服を選ぶ基準が、隠せることが一番になってしまった。夏は厚着なんてできない。でも、半袖では着たくないし着られない。悪化しやすい時期だからこそ、周りには見てほしくない。自由に服を選んで、肌を出している人がうらやましかった。
医療の面だけでなく、自身でもやれることは多くある。日傘をさしたり、汗をかいたらタオルでこまめに拭くなど。基本的なことだし小さすぎるくらいの努力ではある。ただの気休めにすぎないことだが、悪化の波が大きく来ないようになってきた。いつかアトピーの跡を感じさせない肌になって、好みの服をたくさん着られるようにしたい。医療の面も飲み薬や塗り薬だけにとどまらない治療があってもいいと思う。きっとこれからも同じ症状がある人は生まれてくるのだから、医療も同じように新しい選択肢を増やして、私達のような患者に、希望を投げかけて、勇気を与えてほしいと願っている。