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医師会からのお知らせ

第28回健康と医療作文コンクール

優秀賞

「病気の治療体験と健康のために気をつけていること」
矢島 愛都
甲陵中学校1年
僕は、今、2つの病気を持って生活しています。
1つ目の病気は、心臓の病気です。僕は、生まれてすぐに心臓に病気があることが分かりました。病院で詳しく調べてもらった結果、心臓に穴が開いている病気だということが分かりました。病名は、「心室中隔欠損症」(しんしつちゅうかくけっそんしょう)。心臓には、4つの部屋があります。右側にある「右心室」と「右心房」、左側にある「左心室」と「左心房」です。心室中隔欠損症は、心臓の「右心室」と「左心室」の間の壁に穴が開いているという病気で、1,000人に3人くらいの割合で発症する病気だそうです。生まれてから1年ほどで、自然に開いていた穴が塞がってしまう人もいます。
しかし、僕の場合は、穴が自然に塞がるような穴の大きさではありませんでした。そのため、僕は覚えていませんが、1歳半の頃に手術をしました。手術の時、親はとても心配したそうです。なぜ、手術をしなくてはいけなかったかというと、心臓は身体全体のポンプの役割をしていて、血液が心臓へ行き、心臓から血液が身体全体へと送り出されていく仕組みになっています。ですが、僕の場合は心臓に穴が開いていたので、その血液が肺の方へ流れ込んでいました。肺に血液がたくさん流れ込んでいると、肺の血管の血圧が上昇して肺高血圧症をおこし、最悪の場合には死に至ってしまいます。だから、その穴を塞ぐための手術をしなくてはいけませんでした。手術は無事成功しました。ですが、僕の心臓の穴はちょうど身体の中の電気回路の、ど真ん中に開いていたため、その部分がどうしても縫うことが出来ずに完全には塞ぎきれなかったと聞いています。なので、未だに少し穴が開いています。でも、生活に支障はありません。手術をする前は、心臓の音が「ドクドク」という音ではなく、「ザーザー」という音がしていて、お母さんが耳を当てて聞いても分かるくらいの音だったそうです。ですが今は手術をしたお陰で心臓の音も大分よくなり、今では正常な音をしています。僕が今こうして生きていられるのは、僕の心臓の手術をして下さった先生方や僕の面倒を見てくれた医療スタッフの方々、僕を支えてくれた家族のお陰です。
ですが、今でも気をつけなければならないことがいくつかあります。心臓の開いている穴の部分に「バイ菌」が付着してしまうと「心内膜炎」という病気になってしまうため、最悪の場合には死に至ってしまいます。そのため、いろいろな感染症や今、世界中で大流行して多くの死者を出している「新型コロナウイルス感染症」などが流行っているときにはとても気をつけて生活しなければいけません。また、感染症を予防するために日頃から手洗いやうがい、歯磨きや消毒、マスクの着用や怪我をしたとき、特に口の中を怪我したときや歯を抜く前には薬を飲んでから抜くなど、手術をした今でも気をつけなければならないことがたくさんあり、とても大変な日々を過ごしています。
2つ目の病気は喘息です。喘息は風邪を引くとすぐに咳が出てしまい、苦しくなります。そして、治るのに時間がかかります。また、走ったりした後は「ゼェーゼェー」として呼吸が続きます。そのため、それを予防するのにたくさんの薬や気管を広げて呼吸を楽にする吸入器を使っています。また、たばこを吸っている人の近くに行かないということや、ホコリなどを吸い込まないように掃除をする、なるべく風邪を引かないように手洗いやうがい、消毒を心臓病と同様に毎日気をつけています。
小さい頃は心臓の病気と喘息が重なったために身体がとても弱く、何度も数えきれないほど入院をしてきました。感染症にとても気をつけていたためにあまり外で遊ぶこともなく、保育園にも殆ど行けないような生活をしていました。そのため、家族にもたくさんの迷惑をかけてきました。それでも今こうして頑張って生きています。心臓の病気や喘息などの病気で生まれてきたことは、誰のせいでもありません。たまたま神様が僕と決めただけで、決して誰かが悪いという訳ではありません。病院の先生はこうおっしゃっていました。
「心臓病と共に生きていくことを選んだあなたは、心疾患という病気を乗り越えた「勇者」です。そのプライドを持って自分が自分らしく、社会の中でどのように生きていきたいのか、自分なりの人生の未来予想図をえがいていこう。」
先生から頂いた言葉を胸にこれからも自分の病気と向き合いながら、頑張って生きていきたいと思います。また、家族や病院の先生方、僕の周りの人々に感謝しながらこれからも生きていこうと思います。