佳作
「起立性調節障害からの贈り物」
藤本 里紗
中央高校1年
私は中学の頃、自律神経の疾患に悩まされていました。疾患名は「起立性調節障害」起立性低血圧の一種で、思春期に起こりやすい疾患でした。症状はそれぞれで、軽いものから重大なものまであります。その中でも共通しているのが朝起き上がれない、ということです。この疾患は、突然症状があらわれ、日常生活に支障をきたします。これといった特効薬はなく、生活習慣や毎日の心がけなどが主な治療の仕方なので、すぐ治るものでもなく心の病気にもつながることがあります。
私の症状は軽度から中度くらいで、中学校に通っている間にだんだんと症状があらわれてきました。疲れやすくなり、目覚めることが難しくなっていきました。そのため周りの同級生との様々な面で差ができて、疲労のせいで追い込まれていき、学校へ行くことが身体面、精神面で辛くなり不登校になっていきました。良い生活習慣を心がけているのに快復しないいらだちと、先の見えないこれからに、絶望の毎日でした。学校に行かない間に、性格はどんどん暗くなっていき、すべてを諦観したような考えを持ち、心を閉ざしていました。
そして、中学卒業の日が近づいてきた頃、私を変えるきっかけになる出来事が起こりました。久しく顔を合わせていなかった友人やクラスメイトが何も変わらない笑顔で話しかけてくれました。本当に嬉しくて、私が思っているほど絶望的じゃないと実感し、希望が持てました。同時に、コミュニケーションの大切さを痛感しました。長らく、家族としか会話を交わしてこなかったので、年齢の近いクラスメイト達とのコミュニケーションの仕方が分からなくなっていました。私は自分のしてきたことの愚かさを思い知ったのです。『私は、勝手に一人で絶望してネガティブになって、現状を変える努力をしたのか?』と自分に問いました。長らく考えた後、私は疾患の克服を絶対にすると心に決めることができました。
この出来事のお陰で気づいたことが3つあります。それは健康に過ごす為にも大切なことでした。一つ目は、視野を広げること。閉じこもっていないで周りをよく見れば希望があります。自分だけの世界に閉じこもっていると大切なことに気づけなくなってしまいます。視野がせまいと一歩を踏みだす勇気もしぼんでしまいます。二つ目は、ポジティブな発想をするように自分をはげますこと。物事の見方を変え、違った視点から考えると希望を持てたり、次につながる考えを見い出すことができ、すると何事も悲観的にならずに前向きに過ごせば身体も心も健康的に過ごすことにつながります。三つ目は、コミュニケーションの大切さです。人間は一人では生きていけません。人と話さないと周りの人からの情報も入ってこないし、閉じこもった考えになりがちです。日々のコミュニケーションを大事にしていくことや、自分から話しにいく積極性を身につけていくことが大事なのだと気づいたのです。
それ以来、私は少しずつ毎日とにかく精いっぱい一日一日を生きようと考えて行動するようになりました。自分で思い、感じたことを行動に移せるよう努力しました。朝起きる時間を一定にし、生活習慣の向上に努めたり、身体に良いものを摂取するなど、健康的な生活を心がけるようにしました。心がける生活を続け、前よりもポジティブに過ごし、行動できるようになってきました。まだ完全ではないけれど、着実に進んでいって完治できるようにこれからも頑張っていこうと思います。
閉じこもっていた時にお世話になった人々や家族達に恩がえしする一番のことは、私が元気に楽しく健康に過ごすことだと思います。その恩がえしをするべく、私らしく一歩一歩前に進み、楽しい人生をおくっていきたいです。