優秀賞
「寄り添うことのできる医者」
平井 真央
駿台甲府中学校1年
今この瞬間にも、医療は目まぐるしく発展しています。iPS細胞の開発などで様々な研究が続けられています。それはとてもすばらしいことですが、人生100年時代とも言われるようになった今、医療で大切にするべきことは何でしょうか。私は、医者と患者さんとの関わりだと思います。そして、日々発展しているのは、医療だけではありません。AIもそうです。
私は小学6年生の時に、A病院主催のセミナーに参加し、人よりも細かい作業ができるAIにとても感心したのを覚えています。しかし、オックスフォード大学の研究では、今後10年から20年ほどで約47%もの仕事が自動化されるリスクがあるとの結論が出された。その中には医者の一部の仕事も含まれているそうです。しかし、私には想像できません。ロボットが患者さんを診療している姿が。そして、何より医者の仕事はロボットではなく人間がするべきです。人は、ロボットにはない「心」を持っているからです。
私は小さい頃、かぜをひいたときにはいつも同じ病院に行っていました。先生はいつもていねいに診察して、「だいじょうぶだよ。」とやさしく声をかけてくれました。そばにいる看護師さんも笑顔で接してくれました。そのおかげで不安が和らぎ、落ちつくことができました。これは、どんなに優秀なロボットでもできないことでしょう。このように人の心に寄り添い、不安を和らげるのも医者の仕事だと思います。
そして、医者という仕事には大きなやりがいがあるそうです。それは、医者である母を見ていてもよくわかります。母は仕事の後、よく疲れた顔をして帰ってきます。小さい頃の私は、そこまでして仕事をやらなくても良いのではと思っていました。そしてある日母に、「毎日大変なのにどうしてお医者さんの仕事をしているの。」と聞いたことがあります。すると、母は「治った患者さんが笑顔でお礼を言ってくれるのがうれしくて、また明日もがんばろうと思えるからだよ。」と楽しそうな顔で話してくれました。それからは私も医者という仕事に興味がわき、母にいろいろな質問をしたりしました。考えてみると今まで、母からは仕事を辞めたいなどの弱音は聞いたことがありません。それは母が楽しんで、ほこりを持って医者の仕事をしているからだと私は思います。また、患者さんに寄り添うことが医者の使命でもあると私は感じました。そして人の心に寄り添うことができるのはロボットではなく人間です。仕事の喜びを感じることも人間しかできません。将来、AIの技術がどんなに進歩しても、医者であることの喜びを感じることができる人間が医者であってほしいと私は思います。
私の将来の夢は、母のように自分の仕事にほこりをもち、患者さんに寄り添うことのできる医者になることです。私が大人になる頃には、医療やAIの技術はさらに発展しているでしょう。もしかしたら、もう自動化された仕事もあるかもしれません。その中でも、どんなに完璧なロボットでもできないことを大切にできる医者になりたいです。ロボットにはできないこと。それは、「感情を表す」ことです。人はときに感情にゆさぶられてしまいます。それでも、人間だからこそできることもたくさんあります。寄り添うこと。励ますこと。喜ぶこと。悲しむこと。泣くこと。次につなげようとすること。この他にも、数えきれないくらいたくさんあります。技術ではロボットに負けてしまうかもしれません。その中でも人間にしかできないことで患者さんを笑顔にできるような医者を目指したいです。